言い訳だけでもさせてくれ

なるべく楽しい事を書きたいです。

ここ1年くらいの間に読んで面白かった漫画を紹介します(後)

続きです。好き勝手に書いていきます。

プレゼン能力が皆無ですが熱量で伝わってくれればとは思います……。

 ということで8作品、7300字、前回とは違いちょっと好みが偏っている後編ですが、よろしくお願いします。

 


 

波よ聞いてくれ沙村広明

鼓田(こだ)ミナレ、20代独身。札幌在住、スープカレー屋勤務。
ひょんなことからギョーカイ人の中年男性にダマされ、ワケも分からずラジオDJデビュー。カレー界とラジオ界の覇道を歩むべく奮闘はしないが、真の愛と幸せと享楽を求めてオンナは戦い続ける、に違いない。
さあさあさあ、波よ聞いてくれ!!!

 

引用元  波よ聞いてくれ / 沙村広明 - アフタヌーン公式サイト

 

誰かに紹介する時に、あらすじを端的にまとめようとしてもスープカレー屋で働いていた女性がなんやかんやあってラジオDJとして奮闘する話」としか言えなくて、正直そのあらすじだけの情報だと、おもしろいのか?という疑問はわいてくるのですが、超おもしろいんですめちゃくちゃ、おもしろいんですよ。

 

舞台がラジオなので当然言葉や言い回しで笑わせにきてるんですが、そのセリフ回しや絶妙な小ボケ、饒舌なトーク、突飛な展開、小気味いいテンポの会話、次々と流れるネタの疾走感、間隙なく流暢なキャラ同士の掛け合いなどとてもとても面白く、勢いある漫才を聞いているかのように、リズミカルに畳み掛けて読んでいるこっちのテンションも上がっていく。
 
物語全体の流れやリズムや早足で駆け抜けていく感じが心地よく、主人公の鼓田ミナレにおいては、美人なのに残念さ、サバサバしてるけど何一つうまくいかない様、全てにおいて最高に魅力的なキャラクター。
ノリと勢いと愛嬌で駆け抜けるスピード感+読み返して気づく小ネタの数々、何回読んでも笑える言葉選びや言い回しからくる安定した面白さ。
サイドメニューもオードブルもないメイン、メイン、メインの圧倒的濃さ、でも読みやすく飲み込みやすく面白い。
 
 
充分な画力と独特なタッチでの画面一コマ一コマの強さもあり、さらさらと読めてしまうのに内容が濃い。ジェットコースターみたいに数瞬で通り過ぎて楽しく、読み終わった後もしばらく余韻でまた思い出して笑う。筆舌尽くし難い。
うまく伝えきれないけど、読んでいるうちに物語に飲み込まれて巻き込まれて引き込まれてしまうそんなパワーと勢いがあって読み始めると止まらないです。
 
どんな話なの、と聞かれたらとにかく読んでくれ、としか言えません。あらすじを聞いても判断ができないとは思うので。
何気なく仕事の休み時間に、そういえばタイトルよく見るけどこの漫画どうなんだろうと、スマホアフタヌーン公式サイトの1話お試しをちょっとだけの気持ちで読み始めて、読み始めたのが最後、止まらず、めっちゃ面白い漫画読み始めてしまった!!仕事休憩中に読んじゃいけなかった!!と続き読みたくなってその日の終業時間まで気が気じゃなかったです。
 
とりあえず、波よ聞いてくれ、超オススメです。
↓サイトで1話試し読みできます。 

 

 

沙村広明さんの漫画には個人的には6つの大きな魅力があると思っていて、テンポの良い勢いある会話、女の子のかわいさ、過剰なエログロ、手数の多い小ネタ。あと魅力あるおじさまの存在、鋭い目の女の子の存在。
波よ聞いてくれは著者曰く「人が死なない漫画」なのでグロはないですが。かわいい女の子と魅力あるおじさまはちゃんと出てきます。
 
 
小気味良いテンポの会話たとえ流し読みしててもその活きがいいセリフのラリーに引き寄せられ引き込まれる力があり、最終的でその情報量全て飲み込めないまま引っ張られ、気づいたらストーリーが劇的に壮大になっている、ということが多い。
これまで、沙村広明さんを知らずに生きてきた自分を恥ずかしいと思うくらいにドはまりしてしまい、そこから沙村広明さんの作品を追いかけることとなります…。
 
 

人生に負けたホームレス化野元の前に現れた謎の少女ヒヨスは、「食事」を生きる目的として星々を旅する宇宙から来た奇妙な存在だった。不思議な箸を片手に、人から廃棄家電まで際限なしに何でも食べてしまう彼女のおかげで、化野の周りには荒唐無稽な騒動と濃い人間が次々と集まってくる。

引用元 Wikipedia (ハルシオン・ランチ)

 

グルメ漫画数多あれど、食べたものを吐き出すグルメ漫画、探しても見つからないと思います。

ごはんあんまり食べません。リヤカーや冷蔵庫や犬を食べます。グルメと言うよりは悪食。何でも食い。そして、吐く。吐いた後にそれまで食べていたものがすべて融合(キメラ化)して出てくるという混沌な、突飛な設定。

 

これだけでもインパクト大きく混乱するのですが、マニアックなサブカルネタ、時事ネタ、風刺ネタを思う存分隙間無く好き勝手に盛り込んでいてネタのラッシュでせわしない。正直、自分は2回読み返しても4分の1ほども拾いきれていないと思いますし、いろいろと他のもの見回って知識つけ見聞広げた後に読み返すたびに新たな発見があり何度も楽しめる。

 

更に、この漫画一番の推しのポイントですが、ヒロインのヒヨスが、かわいい。

そんなかわいいヒヨスがおいしそうに食べ、苦しそうに吐く。嘔吐フェチの道を開拓してくれます。

 

 

ストーリーは振り幅激しく、緻密な笑いどころや小ネタの多さに圧倒されますが、最終的に壮大になりつつ、うまい風に収束して行くので、とんでもないオチがきても納得させられてしまう力がある。作者が好き勝手やりつつもうまく消化しつつあるのでとても勢いある逸品となっています。

 

 

 

 

 

【おひっこし/沙村広明

基本短編集では、好き勝手やっていて、そこで好きかどうか別れてくるところですが、おひっこしは上記の波よ聞いてくれが好きなら是非読んでもらいたいです。特に2話目から急激に面白さが加速する。
 
笑いどころの入れる量やタイミング、絵に対しての話の脱力具合、テンポの良い会話劇とそこからこぼれる笑い。
 
鋭い目の女の子好きなら絶対に惹かれるヒロインのビジュアル。程々に苦みのある青春、ニヤつくような掛け合いの楽しさ、それが絶妙なバランスで構成されていて、基本駆け抜けてうまい具合に高揚感と楽しさが混じる読後感です。
 
 
正直ストーリーは急にイタリアに飛んだり、マニアックなネタを連発されたりするけど、勢いでねじ伏せられる説得力がある。テンション高めで駆け抜けるラブコメディ的青春劇場。という印象です。
 
竹易てあし漫画全集 おひっこし (アフタヌーンKC)

竹易てあし漫画全集 おひっこし (アフタヌーンKC)

 

 

 【幻想ギネコクラシー/沙村広明

【シスタージェネレーター/沙村広明】 他

 

他、今年実写化された無限の住人(すみません僕はまだ読み途中です)、ベアゲルターなど代表する基本グロ/エロのイメージが強く、短編集であるシスタージェネレーター、幻想ギネコクラシーに関しては、好き勝手やっていて、得意の漫才のような会話劇、かと思えば男気溢れるハードボイルドな物語、クールに騙し合う西部劇、耽美で美しい物語、短めな風刺ネタ、不条理ギャグ、ナンセンスな話からSF、荒唐無稽な話から心温まるいいお話、獣姦や死姦、などジャンルが多彩に幅広く、いろんな方向から楽しませてくれて、読む人を選ぶ話が多いけど、どこかで気に入る話があるとは思います。

 

個人的に短編集の中からお勧めとして、幻想ギネコクラシー2収録の「ぷれぐなぷれぐな」が会話も物語の運びもすごく面白く前述の、波よ〜やおひっこし〜を彷彿とさせる楽しさでありハートフルであり好きなのでオススメ。一方でシスタージェネレーター収録の「エメラルド」はハードでクールな西部劇で心震える格好良さでオススメ。見事に方向性がまったく違う漫画なのにどちらもすごく面白い。

 

あと、基本的には目つきが悪い美女が満載で、目つきが悪い美女フェチとっては至福となっています。

 

白泉社のホームページで幻想ギネコクラシー収録の「鳳梨娘」が丸々読めるので気になった方はぜひ。 

幻想ギネコクラシー 1|白泉社

 

幻想ギネコクラシー 1

幻想ギネコクラシー 1

 

 

 

宝石の国市川春子

今から遠い未来、僕らは「宝石」になった。彼ら28人は、襲い掛かる月人に備えるべく、戦闘や医療などそれぞれの持ち場についていた。月人と戦うことを望みながら、何も役割を与えられていなかったフォスは、宝石たちを束ねる金剛先生から博物誌を編むように頼まれる。漫画界で最も美しい才能が描く、戦う宝石たちの物語。

引用元 宝石の国 / 市川春子 - アフタヌーン公式サイト - モアイ

 

 

フォロワーの勧めでポケモンサンを買って金銀ぶりにプレイして楽しかったのですが、後々に市川春子さんがキャラクターデザインに関わっているとのことを知り、今作のポケモンの中にオーラが違う美しく不気味で魅力的な生命体がいるので、公言はされていないけどなんとなくこれかな〜って予想しながら魅了され完全に漫画の方に興味が湧きました。
 
 
基本的に擬人化された宝石たちとその宝石たちを装飾品にしようと月から現れ襲う「月人 」と呼ばれる者たちとの戦いを主な軸として話が進展していくのですが、まあ、ストーリーは読んだらわかっていくとして、市川春子さんの作品の一番の推しポイントはですね、とにかく美しい!そして切ない!センチメンタルでは言い表せられないくらいの、儚さと神聖さがあります。驚いたのは、白黒でこんなに美しい光の表現ってできるんだ!?と思えるくらい世界観が幻想的な描写です。
 
宝石たちには硬度があり、触れてしまうだけで壊れてしまったり、攻撃を受けると粉々になってしまったり、死という概念がなく、破片が全部揃っていれば元に戻れたりする。
 
その脆さゆえの儚さも、宝石たちの美しい姿と煌びやかな世界観を作り出している。
月人の姿も、不気味さと美しさ、神々しさと禍々しさを絶妙なバランスでモンスター化されていてすごい。
それに比べ、宝石たちとの会話が可愛いんですよ。月人との戦いの時の美しく、緊迫した空気と宝石たちがキャッキャと話している可愛さと、癒しの雰囲気が、バランス良くて最高。
 
物語を進め巻数を重ね読み進める度に絶望的な展開になっていき、切ない気持ちになるけど、その切なさにも魅力を感じてしまう。
静謐で繊細な作品のため、合う合わないがあるかもしれないけど、とにかく美しく清冽で神聖でその雰囲気丸ごと味わえる作品です。
何より美しさにため息と鳥肌が出る。
 
 
市川春子さんは虫の歌、と25時のバカンスという短編集も出していますがどちらも同じように精緻できらびやかで研ぎ澄まされています。静かな部屋で読みたいですね。
 
 
10月からアニメ始まりましたね。ティザー映像あるので貼っておきます。キラキラとした光の加減と雰囲気がそのままで胸がぎゅっと掴まれるようなつくりで僕が長々と書くよりもこの映像見た方が魅力そのまま伝わると思います。
美しくて尊すぎませんか???鳥肌立つ……。特に、髪色の光沢が、肩にほんのりと映っているの、好き。心がときめいてしまう。
現在もう2話まで放映してますけども、実際に映像で見るとどんどん浄化されていきますね。最高に美しい作りになっていて、動きや声や背景や音やOPにも息を飲んでしまうぐらい綺麗で素晴らしい…。なので見てください。
アフタヌーンのホームページでも1話試し読みできますけど、実際に手にとって単行本見てほしいです。各巻の表紙の美しさキラキラとした作りに見蕩れるので…。

 

 

 

 【さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ/永田カビ】

「心を開くって、どうするんだっけ…」28歳、性的経験なし。生きづらい人生の転機。高校卒業から10年間、息苦しさを感じて生きてきた日々。そんな自分を解き放つために選んだ手段が、「レズビアン風俗」で抱きしめられることだった──自身を極限まで見つめ突破口を開いた、赤裸々すぎる実録マンガ。pixiv閲覧数480万超の話題作、全頁改稿・描き下ろしで書籍化。

引用元 さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ - 漫画(マンガ)・電子書籍 | BookLive!

 

インパクトが強く、印象的で記憶に残りやすいタイトル。レズ風俗。

てっきり性癖こじらせてレズ風俗に潜入するレポ漫画と思い込んでましたが読んでみると全くの別物で、〝さびしすぎて〟という部分の方がこの漫画の根底的な内容となっています。


家族の期待に縛られて自分を見失ってしまったり、生き辛さを抱えて他人に心を開けなかったり、世間や他人とのズレに悩み内罰的になったり、漠然とした不安や行き場のないつらさや、正体不明の憂鬱に押しつぶされて息苦しくなったり逼迫したりして心に穴があき、どうしようもない寂しさを抱え誰かに大切にされたい、自分を許したい、誰かに認められたい、心を開けるようになりたいと、もがくように縋るようにたどり着いた先のレズ風俗であり、エロさよりも、成長の記録の漫画となっています。あるいは闘病記のような。


自己肯定感が低かったり、いつまでも晴れない闇を抱えたり、生きるのがつらかったり、さみしかったりする人には刺さりまくるし、そうでない人にもどこかしら共感できる箇所があると思います。
うまく言語化できないもやもや、焦燥感や劣等感や葛藤、すべての負の感情をうまく描かれていて、自分の中の説明がつかない心情や暗闇を、可視化されて整理される事によって非常に救われたかのような気分になりました。


とにかく、言葉にできない負の感情をポップな絵柄で赤裸々におどろおどろしく丁寧に描写されており、自分自身の気持ちに整理がつき理解できるようになる。共感もできるし、共感ができない人にとっても、そういう人たちを理解する手助けになる。

レズ風俗はあくまでおまけです。おまけですけど詳しく描写されているので興味に応えてくれるので満足できます。そんな一冊…。 

 

さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ

さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ

 

 

FLIP FLAP / とよ田みのる

絵に描いたように「フツー」な深町くんは、高校最後の日にあこがれの山田さんに告白! 付き合うために彼女が出した条件は「ピンボールのハイスコア」を超えること!!深町くんの厳しくも険しいピンボール道が始まった!!!

引用元 『FLIP-FLAP』(とよ田 みのる)|講談社コミックプラス

 どんなにマイナーでも漫画になっていない題材などないというぐらいに、様々なテーマを漫画は網羅していますが、この漫画の題材はピンボールです。

 

正直、読む前は、「ピンボール題材か〜地味そう…」と思っていたのですが、読後はそんな意見もう言えない。言っていた自分が恥ずかしいぐらいに、ピンボールってこんな熱くなれるんだ!という衝撃と興奮。


主人公も最初、ピンボール…?よくわからないな、という同じ目線でいるからこそ、感情移入しやすく、ピンボールの魅力にとりつかれ、のめり込んで行く疑似体験を同じように味わえます。

主人公深町くんが熱中しはじめた時の心境変化、盛り上がり具合を見ていると興味が無かったピンボールに虜になっていく。


何より、盛り上がってくると漫画自体の勢いと熱とスピードも上がってきてテンション最高潮に。なんでピンボールに一生懸命になってるんだ…?という冷ややかに見ていた自分が過去になる瞬間はとても心地よく、感動的で感無量です。ランナーズハイが如く、読み進めると急激に気分が高揚して恍惚感で気持ちよくなる瞬間があり凄く良い。
わくわくするし、何より爽快感があり、純粋に楽しい。


プレイに集中し没入しながらまわりの騒音や声援が聞こえなくなるシーンがあるのですが、その静かになるシーンがすばらしく美しくて読みながら実際に静寂が訪れたかのような透明さを感じる。


とにかく一緒にテンションが上がり一緒にのめり込んで行く体験ができる楽しさがあり、まわりもあたたかい人ばかりで、心もあたたかくなるとても素敵な漫画です。

 


 

 以上です。

ん〜〜、自分がおもしろいと思ったものはなるべくたくさんの人に好きになってもらいたいからせっせとこんな長文書いてしまっているけど、もっと簡潔にしたかったですね。

 

割と有名な作品ばかりせこせこ書いてましたが、もし、このブログが、作品を読む切っ掛けとなってくれたら嬉しいので、その際は伝えていただけたら喜びます。
 
また自分の好きな物紹介したいのが溜まってきたらやります。
 

ここ1年くらいの間に読んで面白かった漫画を紹介します(前)

去年の5月、ちょっとした転機があり、そこから心の余裕が出てきたおかげでいろいろと吹っ切れ、
ここ1年ぐらいの間に今までの人生でしたくてもできなかったこと徐々に好き勝手やれる機会が増えてきました。
 
一人で映画観に行ったり、悩みながら服を買ったり、初めてAmazonを使って便利さに感動したり、ゲームを勢いで買っては積みゲーを増やしたりしていくなかで、気になった漫画を迷い無く買って読む、というのをする事ができはじめました。そんな当たり前の生活ができずにいた。
今までどれだけ抑圧されてたんだって話です。
やっと普通の人間に近づけたような気がします。
 
 
 
というわけで、ここ一年くらいの間で読んで面白かった漫画を自己満足で紹介します。
あくまで最近刊行された漫画ではなくて、自分が1年ちょっとぐらい前から今の間に読んだ漫画です。
 
なるべく自分が面白いと思った漫画の魅力がそのまま直に伝わるように書いているつもりですが、ネタバレを避ける+語彙が少ないので抽象的だし長いしで読みづらく、
選出も有名な作品ばかりになってしまったのですが、少なくともN ○VERまとめよりも役に立つぐらいにはなってるはずと信じたいです。よろしくおねがいします。
 
前置きも長いですが本文も長いです。よろしくお願いします。
 
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